医療機関においても、職員満足度の向上は経営に関わる重要課題です。しかし、厳しい経営環境の中で、あらゆる条件を万全に整えることは難しいでしょう。職員満足度と経営改善の関係や、医療従事者の満足度の特徴を知ることで、経営に過度の負担をかけずに満足度を上げていく工夫が可能になります。
医療機関においても、職員満足度の向上は経営に関わる重要課題です。しかし、厳しい経営環境の中で、あらゆる条件を万全に整えることは難しいでしょう。職員満足度と経営改善の関係や、医療従事者の満足度の特徴を知ることで、経営に過度の負担をかけずに満足度を上げていく工夫が可能になります。
『モルゲンロート』
2009年1月号
最近のニューズウィーク誌でも特集記事が組まれるなど、「メディカルツーリズム」と呼ばれる国境を超えた患者と医師の大移動が始まっています。年間100万人以上の外国人患者を引き寄せるタイやインドをはじめ、韓国、台湾、マレーシア、シンガポールなどでも国の産業政策として海外患者の獲得に積極的に取り組んでおり、医療水準、サービス、療養環境、マーケティング力を競い合っています。
2007年度に株式会社ケアレビューが実施した病院職員満足度調査で、他の病院を大きく引き離して職員満足度No.1となった阪南中央病院。6年前に大阪府からの財政的支援打切りを受け、自立民営化路線を歩き始めた同病院は、職員が一丸となった経営改革を断行して2007年度に初めての黒字化を達成しました。
まさに病院経営のV字回復を成功させ、結果的に高い職員満足度を実現した同病院には学ぶべきことも多いため、今回特別に病院名を公表することを前提として取材にご協力いただきました。
当社が2007年度中に実施した病院職員満足度調査の全体集計結果をとりまとめましたので、概要をご案内いたします。
調査方法
株式会社医学通信社 『月刊保険診療』
2008年3月号
[リレーコラム 医療地図の描き方]続きを読む →
患者満足度調査を実施する際には、とても重要な2つの設問があります。
・再利用意向 ・・・ Q.あなたは、この病院をまた利用したいと思いますか?
・知人推奨意向 ・・・ Q.あなたは、ご家族やご友人にこの病院をすすめますか?
当社では、この2つの設問の回答を最重視して各病院の総合満足度指標を算出したり、各種のデータ分析を行っているのですが、じつは再利用意向と知人推奨意向との間には大きな違いがあります。
昨年4月に医療広告規制が大幅に緩和されましたが、患者満足度調査結果は引続き「広告してはいけない」種類の情報とされています。「情報の客観性が不明であるため、誤解を与えるおそれがある」という患者保護の理由が示されていますが、本当にこのような規制は必要なのでしょうか?たしかに、病院が調査結果を”偽装”しようと思えばできないわけではありませんが、そのような理由で情報公開自体を認めないというのは、私は本末転倒のように思います。
シンガポールに学ぶ3つめのテーマは、医師の教育や資格制度についてです。
シンガポール国内では、シンガポール国立大学(NUS)が唯一の医師養成機関ですが、NUSの卒業生の取得資格であるM.BやB.Sは、イギリス
のGeneral Medical Councilで登録資格として、アメリカのECFMG(Educational Commission for
Foreign Graduates)でもアメリカの資格試験の条件として受け入れられていることからも、教育レベルは国際的に通用する水準にあることがわかります。
シンガポールに学ぶ2つめのテーマは、社会保障制度についてです。
シンガポールでは基本的なヘルスケアはあくまで個人の責任とされ、自助努力が強く求められる社会的な価値観が浸透しています。そのため、老後の生活や医療費といった社会保障政策の中心は、中央積立基金(CPF)といわれる強制的な貯蓄制度で賄われているというユニークな特徴があります。