急性期病院の初診時選定療養費に関する調査結果について

弊社では、急性期病院の「初診時選定療養費」(紹介状を持たない初診患者が、通常の医療費以外に自己負担を求められる料金)に関する調査を実施しましたので、調査結果を報告させていただきます。

この調査は、急性期病院の診療実績比較サイト【病院情報局】(http://hospia.jp/)で情報提供している全国1,500あまりの急性期病院のうち、病床数が200床以上の1,125病院を対象として、インターネット上で公表されている情報をもとに料金水準の実態を調査したものです。

※「初診時選定療養費」とは

病院と診療所の機能分担の推進を図るために厚生労働省が導入した制度であり、病床数が200床以上の病院では、初診時に他の医療機関からの紹介状を持参していない患者に対して、健康保険で定められた医療費とは別に、各病院が自由に定めた料金を徴収することが認められています。(大学病院等の特定機能病院は昭和63年より、200床以上の病院は平成8年より実施)

料金設定の主な目的は、軽症の外来患者が集中することによって医療の質が低下することを回避するためであり、料金の高低が病院の営利志向を反映するものではありません。また、料金を徴収する病院には、1.医療機関における掲示、2.患者の同意、3.領収書の発行の3点が義務付けられています。

調査結果の概要

(1) 料金階層別の病院割合

無料の病院は20.2%で、約8割の急性期病院では初診時選定療養費を徴収しています。

金額階層別で見ると、1,000円台が最も多く34.4%で、次いで2,000円台が23.6%、3,000円台が11.7%でした。4,000円以上の料金を徴収している病院は全体の4.1%にとどまり、全国最高は北野病院(大阪府)の8,400円でした。

初診時特定療養費1

(2) 有料の病院の割合(病床規模別)

比較的規模の小さい200~299床の病院では有料の病院の割合が54.0%にとどまりますが、300~399床では80.7%、400~499床では 89.6%、500床以上では9割以上の病院が有料となっています。

初診時特定療養費2

(3) 有料の病院の平均料金(病床規模別)

有料の病院が設定している料金の平均は1,983円で、病院の規模が大きくなるほど料金水準が高くなる傾向が明らかになりました。700床以上の病院の平均料金が2,810円と最も高く、最も低い200~299床の病院の1,499円に比べて、2倍近くの開きがありました。

初診時特定療養費3

(4) 都道府県別の平均料金(有料病院のみ)

最も高いのは徳島県の3,083円で、最も低い奈良県の1,219円に比べて、約2.5倍の開きがありました。

初診時特定療養費4

調査方法

急性期病院の診療実績比較サイト【病院情報局】(http://hospia.jp/)で情報提供している全国1,556のDPC参加病院(DPC導入病院およびDPC参加病院)のうち、病床数が200床以上の1,125病院を対象として、各都道府県の医療機能情報提供サイトおよび各病院のホームページで公表されている2010年4月1日現在の「初診時選定療養費」の料金水準をもとに集計しました。なお、いずれのサイト上でも料金が明示されていない病院は、無料として集計しました。