リサーチ

「医療情報ネット（ナビイ）」の掲載状況に関する独自調査結果

by hp2024

株式会社ケアレビューは、2025年3月時点で全国の医療機関が厚生労働省運営の「医療情報ネット（ナビイ）」にどの程度掲載されているかを独自に調査いたしました。

医療法が定める「医療機能情報提供制度」の趣旨に照らせば、日本国内すべての医療機関が「医療情報ネット（ナビイ）」に掲載されていることが当然です。しかし、本調査によると、実際の掲載率（ナビイ掲載医療機関数÷保険医療機関数）は【全国平均80.0％】にとどまっており、都道府県ごとにも大きな差がある状況が明らかになりました。

株式会社ケアレビューは、「オープンデータの利活用を通じ、医療・介護・健康領域の社会課題を解決し、誰もが安心して暮らせる社会を創造する」というビジョンのもと、公益性の高い事業を展開しています。今回の調査結果公表により、未掲載医療機関の登録促進や地域格差の是正につながることを期待しています。

調査背景・目的

  1. 医療機能情報提供制度の趣旨
    医療機関が提供する診療内容、人員体制、設備やサービスなどの医療機能情報を国や自治体に報告し、国民が自分に合った医療機関を選べるよう情報を公開することが、この制度の目的です。従来は各都道府県が独自の情報提供サイトを運営してきましたが、2024年4月より厚生労働省が運営する「医療情報ネット（ナビイ）」として一本化され、誰もが同サイトから医療機能情報を閲覧できるようになりました。
  2. 本来は100％掲載があるべき姿
    医療機関の情報は、患者や家族が適切な受診先を探すための重要な手がかりとなります。そのため日本国内の医療機関はすべて「医療情報ネット（ナビイ）」に掲載されている状態が求められますが、現状ではそうなっていない可能性があります。
  3. 掲載率の地域差を可視化し、改善を促す
    各都道府県の掲載率に大きな差があることは、患者にとって医療情報を十分に得られない地域があることを意味します。医療機能情報の報告先である厚生労働省や都道府県の管理責任を問うとともに、未掲載の医療機関に対して情報登録を促し、地域格差の是正を図ることを目的として本調査結果を公表させていただきます。

調査概要

  • 調査対象
    • 全国の保険医療機関（病院、診療所、歯科）
  • 調査方法
    1. 「医療情報ネット（ナビイ）」に掲載されている医療機関（2025年3月5日時点）を都道府県別にカウント
    2. 地方厚生局が毎月公表している保険医療機関（2025年3月1日現在）を都道府県別にカウント
    3. 「ナビイ掲載医療機関数 ÷ 保険医療機関数」により掲載率（％）を算出
  • 調査実施
    • 株式会社ケアレビューによる独自調査

主な調査結果

  • 全国合計掲載率は80.0％
    • すべての医療機関（病院・診療所・歯科）を合わせた全国平均は80.0％にとどまりました。
    • 病院の掲載率（92.6%）がもっとも高く、診療所（81.4%）、歯科（76.5%）の順に掲載率が低下します。
  • 都道府県別には大きなバラつき
    • 掲載率が100％を超える県（島根県、岩手県、宮城県）もありますが、非常に低い県も見られます。
      • 京都府では全医療機関の掲載率が19.0％、沖縄県では25.0％と、非常に低い水準でした。

    ※注：ナビイには「特別養護老人ホーム医務室」や「自由診療医療機関」など保険医療機関以外も掲載されるため、掲載率が100％を超えることもあり得ます。

    • 施設種類別のばらつきも顕著
      • 病院の掲載率は比較的高い一方、掲載率が低い都道府県も散見されます（例：栃木県34.0％、京都府60.6％、沖縄県64.4%など）。
      • 診療所や歯科に関しても、都道府県により掲載率に大きな差が生じています。
    • 都道府県別ナビイ掲載率の詳細
      • 都道府県別の集計表を以下からダウンロードしてご利用ください。
      • 当ページへのリンクと出典表記の上で、調査結果を転載していただいて構いません。
    都道府県ナビイ掲載率（PDF）ダウンロード

    今後の課題と改善に向けた提言

    1. 「医療情報ネット（ナビイ）」への掲載を促進
      本調査で判明した掲載率の地域格差は、患者が必要な情報にアクセスできるかどうかに直結します。未掲載機関に対しては速やかな登録を促し、誰もが同じ水準で医療情報を入手できる環境整備が急務です。
    2. 制度周知と簡易な登録手続きの確立
      医療機関の負担を軽減し、円滑に登録を進めるためには、制度の正しい理解・周知と登録手続きの簡便化が不可欠です。
    3. 国・自治体の連携強化
      厚生労働省と都道府県が協力して登録状況を継続的にチェックし、不足部分に対して速やかに補完する仕組みづくりが求められます。

    本調査結果に関する留意事項

    株式会社ケアレビューについて

    株式会社ケアレビューは、医療・介護分野に特化した調査および情報提供サービスを提供しております。

    医療機関向けの満足度ベンチマークシステムを運営するほか、オープンデータを活用した調査や情報提供サービスを通して公的機関や企業との連携実績も多く、有益なデータ提供を通じて持続可能なヘルスケア体制の構築に貢献しています。

    本件に関するお問い合わせ先

    以上

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