入院患者数の将来予測値と既存病床数とのギャップを試算しました

2014年6月18日に成立した「地域医療・介護総合確保推進法」を受けて、病院から各都道府県への「病床機能報告」や、都道府県による「地域医療構想(ビジョン)」の策定がいよいよ本格化します。

当社では、「病床機能報告」や「地域医療ビジョン」を検討するための客観的な情報提供を目的として、全国の都道府県別・二次医療圏別の入院患者数の将来予測値と既存病床数とのギャップを試算しましたので、試算結果を報告いたします。

都道府県別の試算結果

病床が不足する都道府県(2025年の不足病床数および内訳)

不足順 都道府県 一般病床 療養病床 合計
1 神奈川県 -14,700 -16,700 -31,400
2 東京都 -3,200 -20,600 -23,800
3 埼玉県 -10,800 -11,200 -22,000
4 千葉県 -7,800 -11,600 -19,400
5 愛知県 -6,000 -11,000 -17,000
6 静岡県 -3,900 -3,000 -6,900
7 岐阜県 -1,300 -4,000 -5,300
8 茨城県 -100 -4,200 -4,300
9 新潟県 100 -4,300 -4,200
10 長野県 200 -4,300 -4,100

病床が余剰となる都道府県(2025年の余剰病床数および内訳)

余剰順 都道府県 一般病床 療養病床 合計
1 北海道 17,500 1,800 19,300
2 福岡県 14,600 1,700 16,300
3 鹿児島県 7,700 3,500 11,200
4 熊本県 8,000 2,800 10,800
5 長崎県 4,900 1,400 6,300
6 山口県 2,300 3,900 6,200
7 大分県 6,500 -1,500 5,000
8 高知県 3,300 1,400 4,700
9 愛媛県 4,600 0 4,600
10 岡山県 6,500 -2,100 4,400

ダウンロード

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全国47都道府県別の詳細資料はこちらからダウンロードできます。

全国337二次医療圏別の試算結果もダウンロードできます。
(福島県を除く)

※ダウンロードした資料の著作権は株式会社ケアレビューに帰属しますが、出典表記の上で自由に転載・配付していただいて構いません。

試算結果のマクロ的考察

一般病床(急性期医療)

全国には101.3万床の一般病床が既に存在しますが、1日あたり入院患者数は、2025年で92.5万人、2040年で97.6万人と予測されます。

全国の医療資源(医師や病床)を各地域の需要に合わせて再配置することができれば、マクロ的には現在の病床数でも受入可能な患者数であり、急性期医療は供給総量の増加よりも地域偏在の解消が重要なテーマだと考えられます。

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療養病床(慢性期医療)

全国の既存の療養病床は33.2万床ですが、1日あたり入院患者数は、2025年で45.8万人、2040年で55.8万人に増加します。

慢性期医療は大幅な供給不足が見込まれますが、マクロ的に見ても医療資源(医師や病床)を増やすことは困難であり(※)、介護サービスや在宅医療へのシフトによって在院日数を短縮し、供給量の不足を補うことが重要なテーマだと考えられます。

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  • (※)国全体の病床整備計画は、2025年度で131万床(高度急性期18万床、一般急性期35万床、亜急性期26万床、長期療養28万床、地域密着24万床)と示されています。(平成25年9月社会保障審議会)

試算方法

入院患者数予測

性・年齢階級別人口推計(2013年3月 国立社会保障・人口問題研究所、男女・年齢(5歳)階級別の推計結果)×入院患者受療率全国平均(2011年 厚生労働省患者調査、一般病床・療養病床別、病院および有床診療所の合計)

  • 入院患者数予測は、予測値の正確さを競うものではなく、議論の前提となる理論値を客観的かつ簡潔に示すことを目的としているため、入院受療率を固定して将来の人口構成の変化のみを反映させています。
  • 地域別の入院受療率は供給量(病床数)の地域差に強い影響を受けているため、当社は敢えて入院受療率の全国平均値を用いて全国一律で計算し、地理的環境や疾病構造の違い等は考慮しておりません。

既存病床数

地方厚生局届出情報(2014年2月現在、病院および有床診療所の合計)

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