医療広告規制が強化されても有用な情報提供は継続可能

2018年6月より医療広告規制が強化されることになりました。従来は広告規制の対象外であった各医療機関のウェブサイト等にまで規制の対象範囲が拡大されることが最大の変更点です。

10年前(2008年2月)の当社コラム「患者満足度調査結果を公表する意義」にも記載のとおり、当社はこれまで患者満足度調査結果を各医療機関のホームページ等で公表することを推奨してきました。患者満足度調査結果は広告可能事項に該当しないため、今回の規制強化によって「広告可能事項の限定解除」の要件を満たさない限り患者満足度調査結果をホームページで公表することができなくなりますが、保険医療機関のホームページは比較的容易に限定解除要件を満たすことが可能です。

■公表された新たな『医療広告ガイドライン』(2018年5月8日 厚生労働省)

●広告可能事項の限定解除の具体的な要件(自由診療を除く)・・・ガイドラインP11参照

  1. 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
  2. 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること

●広告可能な事項の具体的な内容(患者満足度調査関連)・・・ガイドラインP28参照

  1. 患者満足度調査を実施している旨及び当該調査の結果を提供している旨
    (※患者満足度調査を実施している旨、当該調査の結果を提供している旨又は当該調査の結果の入手方法等については広告可能であるが、当該調査の結果そのものについては、広告が認められていないことに留意すること)

■広告可能事項の限定解除に関する当社見解

  1. ガイドラインを読み込むと、バナー広告や広告費を支払って意図的に検索結果として上位に表示される状態にしない限り、保険医療機関のホームページは「医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト」に該当すると考えられます。
  2. したがって、広告費をかけた広告宣伝を行わず、問い合わせ先(電話番号、メールアドレス等)がわかりやすく記載されたホームページは限定解除要件を満たすため、従来通り広告可能事項以外の情報提供が可能だと考えられます。

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広告規制が強化された背景として、社会的に大きな問題となった美容医療の誇大広告のように不適切な情報を取り締まるための一定の基準を設ける社会的要請が高まったことは理解できます。しかしながら、患者満足度や治療成績のように各医療機関が提供する医療機能や医療の質を客観的に計測した情報は一般市民が医療機関を選択する際に極めて有用です。

規制強化に焦ってホームページ上のコンテンツを拙速に削除することなく、有用な情報については引き続き情報提供を継続していただきたいと思います。